《切り替えの時季》
運動部の生徒にとって6月はいろいろな意味で思い出深い時季である。とりわけ3年生にとっては特別の意味がある。インターハイ予選を戦い続け、負けたら部活動そのものを引退することになるからだ。
昨日の日曜日、ベスト16まで進んでいた男子バスケット部は春の優勝校、強豪の京北高校とベスト8をかけて善戦した。点差は大きいが、優勝候補を相手に優れた技術をいくつも繰り出し、最後まで切らさなかった闘志は実にすばらしいと思う。強豪相手に開始間もない得点や終了間際の得点などにそれがよく現れている。私には技術も闘志も決して負けていないように思われた。
男子バスケット部のベスト16をもって、本校運動部の今年度の公式戦における結果は野球を除いてほぼ確定した。私の高校時代、教員として運動部の顧問をしていた時代、そして今と、梅雨のこの時季は同じ光景が同じように繰り返されている。3年生はインターハイ予選を戦い、負けた翌日から2年生がチームを引っ張る。顧問は3年生の努力をねぎらう間もなく秋の戦いへ向けた準備に入らなければならない。チーム力には波がある。3年生が強いチームの場合は後輩がどこまで頑張れるか、不安やプレッシャーが引き継がれることもある。この時季は、後輩達にとっても複雑な思いが交錯しているときなのだ。
公式戦を戦い抜いた全ての部活動の3年生をねぎらおう。感動をありがとう。伝統の灯を明日へつないでくれてありがとう。次に、ずばり聞きたい。明日から君は何をするのか。昨日まではよく戦った。後輩達の良き模範として最後まで、しかも全力で戦った。その姿はみな知っている。だが、これからはどうするのか。
私は自分の経験でも顧問としての経験でも、この後の切り替えが残りの高校生活はいうまでもなく長い人生に大きな影響を与えることを知っている。戦い終えた後には心に大きな空洞が現れることがあるのだ。その空洞を何で埋めるかが課題なのである。その埋め方をいろいろ見てきた。ある者は次の目標を設定して、毎日を勉強で埋めた。ある者は、バイクに凝り始めて事故につながったケースもある。私の教科は英語であるが、この空洞を単語で埋めようとすると、2000語は下らない。英語の構文もみなさんが習得した巧みな技に比べれば簡単なものである。取り組む内容がまだ決まっていない人は英語に取り組んでみるのもよいだろう。2000語の単語と100の構文を今までの技術や知識にとって代えることはそれほど困難なことではない。
燃焼しつくした後の大きな空洞。放っておいても何かが入る。意図的に入れよう!価値あるものを入れ込もう!計画的に入れてみよう! 今、まさに「切り替えの時季」なのである。
都立日野高校
校長通信
平成21年6月22日
第12号