都立日野高校
校長通信
平成21年11月24日
第18号

《推薦の理由》
 20日(金)、東京都高等学校野球連盟は来春に行われる第82回選抜高等学校野球大会の21世紀枠として、東京都から日野高校を推薦すると発表した。この報道はその日の高野連のホームページに掲載され、翌日の毎日新聞でも報道された。
 「21世紀枠」について、私も具体的な知識はなかったが、本校が推薦されたことで、改めてこの制度について関心をもつこととなった。毎日新聞の報道によれば、推薦された理由は三つある。▽秋季大会ベスト4のうち甲子園に出場したことがない▽クラブ活動が盛ん▽ボランティア活動に積極的に取り組んでいる、などである。
 今年の野球部のがんばり、活躍は見事であった。夏の強さともう一歩、秋の劇的な勝ち方ともう一歩は日野高全体に感動を与えた。特に「もう一歩」はいずれも勝っていた試合を逆転されたものであり、「来年につながる課題」として選手はその後も厳しい練習に取り組んでいる。その「あきらめない」精神が今回の推薦に結びついた。
 しかし、野球部の努力だけでは21世紀枠に推薦されないのも事実である。生徒全体、学校全体の姿勢が評価されて初めて推薦されるのが「21世紀枠」の精神である。そういう意味で今回の推薦は生徒一人一人の日々の取り組みが評価された結果であり、喜びを全員で分かち合うと同時に「推薦された責任」の重さを噛みしめたいと思う。
 過去の推薦理由をみると、「廃校の危機を乗り越え、希望の星となる」(北海道鵡川高校:2002年)や「全校生徒が日本赤十字の会員で、青少年赤十字モデル校の指定を受けている」(山口県華陵高校:2008)、また「地域の清掃活動に積極的に参加。運動部員が小学校へ出前授業をしている」(宮城県利府高校:2009)など、それぞれ学校全体としての取り組みが評価されている。本校では「クラブ活動が盛んである」ことと「ボランティア活動に積極的に取り組んでいる」ことが学校に対する評価である。
 生徒一人一人の取り組みが学校全体に反映され、学校全体の取り組みが一人一人にフィードバックされる。その相乗効果が地域に反映されて「場」が広がる。今、日野高校はこの三者による「シナジー効果の場」を創り、それが拡大している実感がある。その実感は今回の推薦により、現実となった。まだ、東京からの推薦に過ぎない。この後、関東地区から推薦され、次に全国で推薦されなければ出場はかなわない。しかし、この三者の場である「生徒一人一人、学校、地域」が有機的に連動し、相乗効果を発揮する限り、そして夢をあきらめない限り、確実に上昇は続くだろう。「21世紀枠」はそのための枠である。
 今世紀が始まって間もないが、世界的な景気の悪化、環境の悪化、紛争の未解決など、日本も世界も課題山積である。このような時期に「勝敗の結果」だけでなく、学校全体の取り組みを評価し、その規準として、地域貢献、部としての存続や練習の困難さ、地域をリードする進学実績などが示された意義は大きい。
 人類の歴史は優勝劣敗のようにみえる。しかし、限られた地球資源と急激に増加する人口を考えると優勝劣敗の精神では人類そのものの生き残りが厳しいことが分かってきた。他人と競う目的は相手を負かすことにあるのではない。戦いを通じて自らの課題を発見し、互いに進化しあうことにこそ意義がある。このように考えると「勝って驕らず、負けて腐らず」という昔ながらの当たり前の精神が共存のための優れた教えであることが理解される。「21世紀枠」への推薦を通して21世紀にふさわしいあり方、生き方を改めて考える機会を得られたことにも感謝の念が強く湧くのである。

 

 

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